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幼い恋の話 [恋から愛へ]

15年以上前のこと。
私には大好きな人がいた。

そしてその頃、自分にこんな質問をした。

もしも 彼が絵を描けなくなったとしても… 気持ちは変わらない?
(彼はイラストレーターを目指していて 絵を描く姿を見るのが好きだった)

答えは考える間もなく、
「別にかまわない。」
彼が絵を描けなくなっても きっと彼のことが好きだと私は思った。

もしも・・・彼が歌えなくなったら?
(彼は アマチュアミュージシャンで、私は彼が歌っていることも好きだった)

答えは
「歌えなくなってもかまわない。」
私の気持ちは、そんなことでは変わらない。

もしもの問いをどんどん続けた。


そして最後には こう質問した。
もしも 彼が交通事故や病気になって寝たきりになったとしても?

答えは
「それでも彼への想いは変わらない。」
そんな彼になったとしても傍にいたいと私は思った。

今考えると、そんな質問をすること自体が稚拙だけれど、
当時の私は
「ああ、私はこんなにも彼の事が好きなのだ。
こんなに好きになれる人と出会えて、一緒にいられるだなんて、幸せだな。」
そう思っていた。

そこには、執着や依存心とも違う晴れ晴れとした気持ちが確かにあった。

寂しさも悲しみもなかったあの時期。
あの頃は、その状態がずっと続くと信じてた。疑うことすらしなかった。
あの揺るぎない、確信に満ちた心境は どこから生まれていたのだろう?
私は私の作りあげた世界の中で 勝手に幸せだったのだろうか?


今は・・・
全てのものが移ろい変化していくものだと解っている。
変化しないものなどない。
それは自然なこと。
変化を喜び、受け入れて、流れの中を漂い生きていく。

あるものは ある。
ないものは ない。

物事の本質はシンプルなものだった。
世の中の混乱は 私達のせいだった。
ないものをないと認めるのを拒み、ないなんて嫌だと主張する。
あるものを自分勝手に解釈をつけて違うもののように扱ったり 思いこむ。
自分で自ら生み出したもので苦しんだり、喜んだり・・・。

それでも あの頃の永遠を信じることの出来た心境を思うだけで、微笑んでしまう。
これも私が自ら生み出したもの…。
ならば平穏な心境や幸せを感じる心も私自身で生み出すことが出来るはず。


あなたの今好きな人があなたにしてくれる行為の中で、あなたが好きな事は何ですか?
もしも、それを彼が出来なくなったとしても、彼が好きですか?
彼の傍にいたいと思いますか・・・?


こんな質問は無意味だと今は思う。

昔こだわっていたこの質問も今の私にはもう必要ない。


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